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日々の数学やプログラミングに関係する話。

はじめましての挨拶と、(幾何)ベクトルによる三角関数の加法定理の証明。

はじめまして。あるふぁというものです。
tsujimotterさんだとか、INTEGERSのせきゅーんさんといった方々に憧れて自分もブログを開設してみることにしました。ぜひとも、これからよろしくお願いいたします。

では早速ですが、本題です。記念すべき一番最初の記事はタイトルの通り、「三角関数の加法定理」としたいと思います。(あくまで紹介であり私が考案したものではありません)
三角関数の加法定理と言えば、こんな感じのやつでした。

\begin{align}
\sin(\theta_1 + \theta_2) = \sin\theta_1\cos\theta_2 + \cos\theta_1\sin\theta_2 \tag{1} \\ \sin(\theta_1 - \theta_2) = \sin\theta_1\cos\theta_2 - \cos\theta_1\sin\theta_2 \tag{2} \\ \cos(\theta_1 + \theta_2) = \cos\theta_1\cos\theta_2 - \sin\theta_1\sin\theta_2 \tag{3} \\ \cos(\theta_1 - \theta_2) = \cos\theta_1\cos\theta_2 + \sin\theta_1\sin\theta_2 \tag{4}
\end{align}

じっとこの定理を見ていると、一つ疑問が浮かびます。
それは至ってシンプルで、「なんで余弦関数は+と-が逆なんだ?」ということ。
きっと世の中の多くの高校生が一度は思ったことがあることでしょう。

もちろん、以下の関係式を用いれば実際にそうなることは分かるのですが(循環論法になってしまうため証明にはなりえません)、いかんせん「直感的」ではありません。

\begin{align}
e^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\theta
\end{align}

そこで今回用いるのが、(幾何)ベクトルの内積です。
内積とは、次のような定義でした。

\begin{align}
\vec{a} \cdot \vec{b} = \|\vec{a}\|\|\vec{b}\|\cos\theta \tag{5}
\end{align}

ここで、\theta\vec{a}\vec{b} の成す角で、0 \le \theta < \pi を満たすものとします。

今回はこの内積を用いて、上の(4)の公式を証明したいと思います。

\begin{align}
\cos(\theta_1 - \theta_2) = \cos\theta_1\cos\theta_2 + \sin\theta_1\sin\theta_2
\end{align}

まず今回の証明に必要なものです。
実は座標を導入すればベクトルの内積は以下のように計算できるのでした。
(ここで、ベクトルは2次元ベクトルとして\vec{a} = (a_1, a_2), \vec{b} = (b_1, b_2)とします)

\begin{align}
\vec{a} \cdot \vec{b} = a_{1}b_{1} + a_{2}b_{2} \tag{6}
\end{align}

(これを見ただけでも勘のいい人なら「おや?」となるかも)

 では証明を始めていきましょう。まず、xy平面上の単位円を考えます。
(この単位円とx軸の正の部分との交点をXとし、始線をOXとします)
ここで以下のように2点PQを定めます。

Pは始線と動径OPの成す角が\theta_2となるような点とする。
Qは始線と動径OQの成す角が\theta_1となるような点とする。
ただし、\theta_1\theta_2を満たす。

つまり、三角関数を用いて2点の座標はP(\cos\theta_2, \sin\theta_2)Q(\cos\theta_1, \sin\theta_1)という風に表せるということです。

そして次に、内積が登場します。
突然ですが、\overrightarrow{OP}\overrightarrow{OQ}内積を計算してみます。

まず、(5)の定義より以下の式が得られます。

\begin{align}
\overrightarrow{OP} \cdot \overrightarrow{OQ} = 1 \times 1 \times \cos(\theta_1 - \theta_2) \tag{7}
\end{align}

単位円周上の点ですから、大きさはどちらも1です。

次に、(6)の性質を用いて同じく内積を計算してみます。

\begin{align}
\overrightarrow{OP} \cdot \overrightarrow{OQ} = \cos\theta_2\cos\theta_1 + \sin\theta_2\sin\theta_1 \tag{8}
\end{align}

(7)と(8)より、

\begin{align}
\cos(\theta_1 - \theta_2) = \cos\theta_1\cos\theta_2 + \sin\theta_1\sin\theta_2
\end{align}

余弦関数の加法定理が証明できました!!

左辺が角度の引き算になっているのは成す角を求めているからで、そして右辺がこのとき和になるのは内積の計算なのだから当たり前だったわけですね。
この証明から見れば、-\theta_2となっているこっちが普通で、+\theta_2の方がイレギュラーなのです。

 さて、(4)が証明できたということは、残りの(1)(2)(3)は全て三角関数の相互関係の公式から自動的に証明できてしまいます(もちろん正接関数なども)。よって、ベクトルを用いて三角関数の加法定理が全て証明できました。

とここまで書いていて筆者もだいぶ疲れました。初めてなのに2500文字とかいってるみたいです。長い。普段からこういった記事を書いている方々が余計にすごく見えます。

では、今回はこんなところで終わりにしたいと思います。次回はきっとすぐ書けると思いますので、読んでくださると嬉しいです。ありがとうございました。