ラマヌジャンの円周率公式を証明する #4
第四回。今回から第二章ですが、原論文では2ページしかないところなのでササッとやります。
注意:これまで のことを(基本)単位と書いてましたが、どうやら周期のほうが良さそうなので変更します。
2. 準周期(quasiperiods)と積分による表示
この章では、Weierstraßの-関数を用いて格子の準周期を定義する。
また、楕円積分を用いて周期と準周期の別の表示を与える。
これに、命題1.20の の微分方程式を用いる。
命題 2.1.
Weierstraßの-関数は二重周期を持たないが、次の準周期と呼ばれる値は、 によらない( であるならば)。
証明
右辺を と置き、これを で微分すると、定義1.12より を得る。
命題1.15よりこれは0となるから、したがって は に関して定数である。
この定数の値は格子 と の選び方のみに依っている。
それゆえに、これを と書けるのである。
定義 2.2.
次の値 と は、格子 の基本準周期(basic quasiperiods)と呼ばれる。
注意 2.3.
省略
命題 2.4.
格子 の基本周期と基本準周期に対して、以下が成り立つ。
証明
(留数定理より。よく分かってないので省略)
定義 2.5.
を複素数とする。このとき、
\begin{align}
X(g_2, g_3) := \left\{ (x, y) \in \mathbb{C}^2 \, | \, y^2 = 4 x^3 - g_2 x - g_3 \right\}
\end{align}
は、平面アフィン代数曲線の一つである。
命題 2.6.
写像 を以下のように定義する。
\begin{align}
\Phi : \mathbb{C} - L \quad &\longrightarrow \quad X(g_2(L), g_3(L)) \subset \mathbb{C}^2 \\
z \quad &\longmapsto \quad (\wp(z; L), \wp^{\prime}(z; L))
\end{align}
これは well-defined であり微分可能かつ二重周期性を持つ。
証明
(省略)
定義 2.7.
を基本周期を とする格子とする。ここで経路 を以下のように定義する。
\begin{align}
\beta_1(t) := \frac{1}{4} \cdot \omega_2 + t \cdot \omega_1 \qquad \text{for} \quad 0 \leq t \leq 1 \\
\beta_2(t) := \frac{1}{4} \cdot \omega_1 + t \cdot \omega_2 \qquad \text{for} \quad 0 \leq t \leq 1
\end{align}
注意 2.8.
経路上には と の極、および の零点は存在しない。
命題 2.9.
とおく。そして経路 を用いて2つの新たな経路 を定義する。
これらは平面アフィン代数曲線 上の閉じた経路である。
ここで、格子の基本周期と基本準周期は、次の楕円積分による表示を満たす。
証明
経路 が 上の経路であることは、命題1.20の微分方程式から保証される。 より、 であり、 に対しても同様である。したがって、 が成り立ち経路 は閉じている。
となるから、したがって
\begin{align}
\oint_{\alpha_k} \frac{dx}{y} = \oint_{\beta_k} \frac{\wp^{\prime}(z) dz}{\wp^{\prime}(z)} = \oint_{\beta_k} dz = \beta_k(1) - \beta_k(0) = \omega_k
\end{align}
また、
次回予告
第二章はこれで終わりで、次回から第三章です。
感覚としては、結構進んできた感じしますね。
次回から、円周率公式のパーツっぽいものが現れてきます。
頑張って証明追いたい。