お酒と消毒用アルコールの違いって何?調べてみた!
※一部正確性に書ける部分等がある可能性があります。また、記事の内容は安全性を保証するものではありません。
ある日、友人とこのような話をしました。
「酒と消毒液の違いって何?」
いや、そりゃあ違うもんだろ……と直感的に思うのですが、じゃあ具体的に何の差異があるのかと考えると、詰まってしまいました。結局アルコールの濃度が違うんだろうな……みたいな感じで放置していたので、せっかくなので調べました。
そもそもお酒とは?
差異を語る前にそもそもの定義をしておかないといけませんから、これからやっていきましょう。
こちらのサイトによりますと、日本国内ではアルコールを1%*1以上含む飲料のことをお酒としているようです。
さて、ここで注目するべきはアルコールというというところです。すこし化学を勉強している人ならば、「アルコールにも色々あるだろ」と思われるかと思います。
お酒に利用されているのは、アルコールの中でもエタノール という物質です。そしてこれが、お酒がお酒たる所以というわけです。
エタノールには麻酔作用があり、これがいわゆる「酔い」の原因となります。
また、同じアルコールにメタノール という物質があります。
こちらは同じアルコールという部類でありながら、人体に有害であり飲料に用いることはできません。これは代謝の過程でメタノールの酸化によって生じるホルムアルデヒド やギ酸 の影響とされています。
消毒用アルコールの成分は?
同様に、消毒用アルコールについても見ておきましょう。
こちらもさっきからずっとアルコールと言っていますが、主成分はエタノールです。
エタノールですが、実は市販されているものはだいたい次の2つに分かれています。ついでなので、ここで触れておきます。
無水エタノール(99.5 vol%以上程度)
無水エタノールは、水分をほとんど含まない純度の高いエタノールです。
「純度が高いならばこれを消毒に使えばいいのではないか?」と思うかもしれませんが、実はこの無水エタノール、純度が高すぎるがゆえにすぐ揮発してしまい、その場に残留しないので、一般に想像されるような消毒作業には逆に向いていません。
この性質から、水拭きできない電気製品の洗浄などに使われるそうです。
ところで、エタノールと名前は付きますが、実は無水エタノールは飲んではいけません。なぜでしょうか?
濃度に注目してみましょう。99.5%です。これを達成するためには、どういった作業が必要でしょう。
当然、何度も蒸留をして無水エタノールは生成されています。
しかしながら、エタノールと水の混合物を単に蒸留しても、実は95%以上の濃縮ができません。これは化学的な理由からだそうですが、私自身詳しくないので、みなさん自身に調べてもらいたいと思います。
ともかく、このままでは99.5%を達成できませんから、どうするかというと、混合物にベンゼンを加えて蒸留します。こうすることで、無水エタノールを精製することができます。
このベンゼンというやつは、発がん性があったりする危険な物質です。飲むのは当然よくないですし、吸引もあまり好ましくないでしょう。
こういった物質が無水エタノールには残留している可能性があるので、希釈したとしても飲むことはできません。
消毒用エタノール(75 - 80 vol%程度)
こちらが今回取り扱うエタノールです。
無水エタノールよりも濃度が下げられており、名前の通り消毒に適しています。私達が普段一番見る機会が多いのは、この消毒用エタノールでしょう。
これを果たして飲むことは可能なのか?この疑問は次の節で扱うことにします。
先に述べておくべき注意として、この消毒用エタノールにはそもそも飲むことができない亜種があったりします。そのうちの1つが、2-プロパノール が添加されている消毒液です。
2-プロパノールもアルコールの一種ですが、少し毒性が強く内服等はしていけない物質です。
なぜこれを消毒液に添加するのか。
理由は、酒税を回避するためです。
「えっ、酒税?」
はい、実は飲むためのものとして売られていない消毒用エタノールにも、酒税の分価格が上乗せされています。それは飲めるということでは?
これを回避して価格を下げるために、メーカーによってはこういった対処をして「お酒」のグループに属さないようにしていたりします。
結局、お酒と消毒用エタノールの違いとは?
結論から言うと、本当に濃度くらいしか差がなさそう。
いや、まあ当然お酒には穀物みたいなのが含まれていたりしますし、アルコールだけとか味ねえじゃんみたいな話はありますが、主成分のエタノールについてだけ見れば、濃度が違うだけの水溶液だと思えばいいでしょう(適当)。
もしアルコール中毒でどうしてもアルコールを摂取したい場合には、消毒用エタノールを精製水で割って飲めば、いいんじゃないかな。当然責任は一切負いませんが。
消毒液はさっき言ったように添加物で界面活性剤等が入っていたりするのもありますから、それだけ注意しましょう。
*1:おそらくvol%(体積パーセント濃度)だと思われます。