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日々の数学やプログラミングに関係する話。

2019-01-01から1年間の記事一覧

AtCoderで茶色レートになった

ちょうど昨日のABCで茶色レートになりました。コンテスト参加してればなれる色なので特別報告するほどでもないのですが まあ初めての色更新ということで自分用の記録として。 パフォーマンスis良い レートはまだ最初の下方補正がかかってる状態です。 コンテ…

数列クイズをしよう。(高校数学の話)

突然ですが、問題です。 \begin{align}1, 1, 2, 3, 5, 8, \ldots\end{align} この数列で、8の次の数はなんでしょう? 正解は…… 733 でした!!!!!!! \begin{align}a_n = \prod_{k=1}^6 (n - k) + \frac{1}{\sqrt{5}}\left\{\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\…

ABC予想とFermatの最終定理

この記事は、「日曜数学 Advent Calendar 2019」13日目の記事です。 adventar.org 「数学の問題は、足し算と掛け算が絡むと途端に難解になる。」 日曜数学のアドベントカレンダーには参加しようと思ってみたものの、さて何を書こうかと思っていたのですが、…

ラマヌジャンの円周率公式を証明する #5

第五回です。お久しぶりです。 更新滞りすぎ感があったのでちょっとだけ書いておきます。 3. 等価(equivalent)な格子とKleinの絶対不変量 この章では、互いに回転・拡大縮小の関係にある等価(equivalent)な格子について取り扱う。等価な格子は、等しいKl…

ラマヌジャンの円周率公式を証明する #4

第四回。今回から第二章ですが、原論文では2ページしかないところなのでササッとやります。 mikan-alpha.hatenablog.com 注意:これまで のことを(基本)単位と書いてましたが、どうやら周期のほうが良さそうなので変更します。 2. 準周期(quasiperiods)…

ラマヌジャンの円周率公式を証明する #3

第三回です。ところどころ証明が分からなくなってきたのでサポートしてくれる人がほしい。 よく分かってない証明:極と零点に関わる証明(Liouvilleの定理2、3まわり)、命題1.20、1.21 あと今更ですが、この日本語訳計画が終わったら別でお気持ちが分かるよ…

ラマヌジャンの円周率公式を証明する #2

昨日の続きです。以下常体になります。 mikan-alpha.hatenablog.com 1. 楕円関数(Elliptic Functions) この章では、Weierstraßの楕円関数についての用語と命題を取り扱う。 定義 1.1. 上線形独立な複素数の組 について、 \begin{align}L = \mathbb{Z} \ome…

ラマヌジャンの円周率公式を証明する #1

※この記事は以下のものの続き的なものではありますが、読んでも読まなくても大丈夫です。 mikan-alpha.hatenablog.com mikan-alpha.hatenablog.com mikan-alpha.hatenablog.com 上の記事を書いてから、もうだいぶ経ってしまいました。 個人的にまたこの話題…

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タイトルにある分数の話です。 手元に紙とペンがあって暇な方は自分で割り算してみてください。 こんな風になりましたか? 「これが何なんだ」って人は、もう少し先まで計算してみてください。120桁くらいやれば、流石に見えてくると思います。 フィボナッチ…

電車が事故らないように一瞬でブレーキをかけたい!!

突然ですが、電車をピタッと止めたくなってきました!ほら、電車ってブレーキかけても一瞬で止まってくれないじゃないですか。あれじゃあ不便ですよね。マスコミは一体何を求めているのか もっと、ピタッと止まってくれれば衝突事故とか減るんじゃない!?(…

円周率公式のまとめ

今日の話は円周率公式の話です。 円周率公式と一口に言っても、円周率に関わる公式はたくさんあります。その中でも今回は、コンピューターで円周率を計算する際に実際に使われている、あるいは使われていたものについて取り扱っていきたいと思います。 ただ…

エニグマ(初期版)をVC#で作ってみた

社会の情報化・電子化が進み、暗号化というものは不可欠な存在になってきました。 パスワードだとか、あるいはもっと重要な企業間、国家間の機密情報が平文のままやりとりされていては堪ったものではありません。 実際に利用されている暗号化の方式としてはR…

メモ: 最小公倍数とネイピア数の件のラフ証明(with素数定理)

素数定理参戦!!

ネイピア数 e と素数定理のヤバい関係

今日、思わぬ情報を目にしました。それがこいつです。 \begin{align}\lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{{\rm LCM}(1,2,\ldots,n)} = e\end{align} The limit as 𝑛 → ∞ of the 𝑛ᵗʰ root of the Least Common Multiple from 1,2,.. 𝑛 is equal to 𝑒 pic.twitter.co…

x^(dx) - 1

\begin{align}\int x^{dx} - 1 &= \int \frac{x^{dx} - 1}{dx} \, dx \\&= \int \log x \, dx \\&= x \log x - x + C\end{align} ( は積分定数)

関数の「強さ」の話

極限を習うと、関数の「増加の速さ」比べができるようになります。 何か2つ関数を持ってきて、その における比を調べてみればいいわけです。例えば、こんな二つ。 \begin{align}\lim_{x \to \infty} \frac{\log x}{x}\end{align} 一次関数と自然対数関数です…

-3個のりんごから7個選ぶのは何通り?

りんごが目の前に 個置いてありました。この中から 個選ぶことにしましょう。 \begin{align}\binom{-3}{7}\end{align} さて、いつもの通り計算すればいいので、 \begin{align}\binom{-3}{7} = \frac{(-3) \times (-4) \cdots (-8) \times (-9)}{7!}\end{alig…

二重階乗とネイピア数

今日はこれを計算したいと思います。 \begin{align}\sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{(2n)!!}\end{align} 分母のやつは二重階乗と呼ばれるやつです。階乗を二回繰り返したやつ とは違うので注意しましょう。 一応初めて見た方向けにざっくり説明すると、二重階…

負の数にも指数を乗っけてみようじゃないか

高校の数学Ⅱでは、指数関数と対数関数というものを習います。 \begin{align}y = a^x\end{align} こんな感じのやつですね。対数関数はこの関数の逆関数なのでした。 ただし条件があって、 は1ではない正の実数という仮定が必要です。もし が1だとしたら、そも…

メモ: Sternの2原子数列

先日の数学デーにて面白い話を聞けたので、忘れないうちにメモを残しておきます。 以下のように定義される数列 はSternの2原子数列(Diatomic Series)と呼ばれるものです。 \begin{align}s_0 &= 0 \\s_1 &= 1 \\s_{2n} &= s_n \\s_{2n+1} &= s_n + s_{n+1}\…

ボルテを初めてみた話

なんか最近数学のこと以外ばっかりな気がしますが、そもそもブログって雑多な寄せ集めでいいのでは?と思ったのでちょっと日常の雑記も書こうかなと思います。 私事ですが、最近SOUND VOLTEXに触ってみました。前々からKACで見たりして興味があったのですが…

Minecraft Forge 1.13.2 変更点などまとめ Part2

セットアップ段階での話は既に書いたので、主にアイテムとかブロックとかの登録方法の変更について書いておこうと思います。mikan-alpha.hatenablog.com Forge 1.13.2の現時点での仕様 FML(Pre、Post)InitializationEventの廃止 まずmdkをEclipseで開いて少…

ラマヌジャンの円周率公式を理解したい 第三回 - 公式の一般形

ラマヌジャンの円周率公式、第三回です。 mikan-alpha.hatenablog.com さて、前回は色々な道具を導入して限られた場合の円周率公式の生成法を紹介しましたが、今回はもう少し一般化した話をしていきたいと思います。 証明のようなものは、また別の機会に書け…

メモ: 1が並ぶ数の和とq-analog

先日、Twitterのタイムラインに面白いものが流れてきました。 とある無限和 以下のような1が並ぶ数を足していったら、というだけの話だったのですが、答えの方がなにやら面白いぞ、と。 \begin{align}1 + \frac{1}{11} + \frac{1}{111} + \frac{1}{1111} + \…

Minecraft Forge 1.13.2版のセットアップが変わった

このブログでは初めての数学以外の記事ですかね? なんだか久しぶりにForgeに触ってみたらセットアップから仕様が変わっててビビったのでメモしておきます。(日本語で解説してるサイトも無いようなので) 1.12.x以前から1.13.xへの変更点まとめ gradlew set…

フィボナッチ数の総和は -1 である

数列 を以下のような漸化式で定義します。 \begin{align}F_0 &= 0 \\F_1 &= 1 \\F_{n+2} &= F_{n+1} + F_n\end{align} このとき、数列 のことをフィボナッチ数列と呼ぶのでした*1。 今日は、このフィボナッチ数列について書きたいと思います。 数列の母関数…

ラマヌジャンの円周率公式を理解したい 第二回

この記事は、この記事の続きになります。 mikan-alpha.hatenablog.com 前回までと同じく、自由研究ライクな記事になります。厳密な証明などを与えるわけではないので、ご了承ください。 もうちょっと準備編 Dedekindのイータ関数 階乗冪・ガウスの超幾何関数…

ベクトルって便利だね、って話

高校二年生の数学Bなどで勉強するベクトルですが、意外とこいつを上手く使ってやることで証明がスマートになったり、あるいはほぼ自明レベルまで落とし込めたりします。 そんなわけでいくつかベクトルを使うと簡単に示せる定理などの紹介です。数が少ないの…

リーマン予想について少し考察してみたい(本編)

この記事の続き、というか本編になります。 mikan-alpha.hatenablog.com リーマン予想と同値な不等式として、こんなものが知られています。 ここで は約数関数、 はn番目の調和数です。 \begin{align}H_n = 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \cdots + \frac{…

ソシャゲのガチャと確率について考える

唐突なのですが、なんとなく昨日のリーマン予想とは別に書きたくなりました。 ということで、少しだけ書きます。 大抵のソシャゲにはガチャのシステムがあります。言わずもがな、ガチャというのは確率でレアアイテムやレアなキャラが手に入ったりするやつで…