1/999999999998999999999999
タイトルにある分数の話です。
手元に紙とペンがあって暇な方は自分で割り算してみてください。
こんな風になりましたか?
「これが何なんだ」って人は、もう少し先まで計算してみてください。
120桁くらいやれば、流石に見えてくると思います。
フィボナッチ数が見えましたか?(よくわからない人は小数点以下を12桁ずつ区切ってください)
この分数、少し前にTwitterで話題になっていたものです。
元ツイートは忘れてしまいました……。
まあとにかく、今回はこの分数にフィボナッチ数が現れることの証明をやりたいと思います。
さて、これが話題の分数です。
\begin{align}
\frac{1}{999999999998999999999999} \tag{1}
\end{align}
いかにも文字で一般化できそうな形なので、定数 を用いて簡略化してみると、
\begin{align}
\frac{1}{x^2 - x - 1} \tag{2}
\end{align}
こんな感じです。
ここでちょっと考えます。知っている式で、これに似たものをどこかで見たような気がします。
そうです。分かる人にはわかる、フィボナッチ数列の母関数です。
当ブログでも、以前に母関数を計算したことがありました。
今回も、フィボナッチ数列の定義は同じものを使おうと思うので、母関数は使い回させていただきます。
\begin{align}
F_0 &= 0 \\
F_1 &= 1 \\
F_{n+2} &= F_{n+1} + F_n
\end{align}
フィボナッチ数列の母関数 :
\begin{align}
f(t) = \frac{t}{1 - t - t^2} \tag{3}
\end{align}
では証明です。といっても、すぐ終わります。
(2)の式を母関数の式の形に近づけるため、分母分子に をかけます。
\begin{align}
\frac{x^{-2}}{1 - x^{-1} - x^{-2}} \tag{4}
\end{align}
なんだか指数のところが汚いので新しく を定義して書き換えましょう。
\begin{align}
\frac{y^2}{1 - y - y^2} \tag{5}
\end{align}
もうほぼ証明終わりみたいなものですね。これは母関数 に が1つ余分にかかっている形となっています。
\begin{align}
\frac{y^2}{1 - y - y^2} = y \cdot f(y) = F_0 y + F_1 y^2 + F_2 y^3 + \cdots \tag{6}
\end{align}
ここで右の式は元の分数を小数展開したときの形そのものですね!
こういうわけで、もとの分数を展開するとフィボナッチ数が出てくるのでした。
今回は短いですがこれで以上です。お疲れさまでした。