Holograph1c Attract0r

日々の数学やプログラミングに関係する話。

エニグマ(初期版)をVC#で作ってみた

社会の情報化・電子化が進み、暗号化というものは不可欠な存在になってきました。 パスワードだとか、あるいはもっと重要な企業間、国家間の機密情報が平文のままやりとりされていては堪ったものではありません。 実際に利用されている暗号化の方式としてはR…

メモ: 最小公倍数とネイピア数の件のラフ証明(with素数定理)

素数定理参戦!!

ネイピア数 e と素数定理のヤバい関係

今日、思わぬ情報を目にしました。それがこいつです。 \begin{align}\lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{{\rm LCM}(1,2,\ldots,n)} = e\end{align} The limit as 𝑛 → ∞ of the 𝑛ᵗʰ root of the Least Common Multiple from 1,2,.. 𝑛 is equal to 𝑒 pic.twitter.co…

x^(dx) - 1

\begin{align}\int x^{dx} - 1 &= \int \frac{x^{dx} - 1}{dx} \, dx \\&= \int \log x \, dx \\&= x \log x - x + C\end{align} ( は積分定数)

関数の「強さ」の話

極限を習うと、関数の「増加の速さ」比べができるようになります。 何か2つ関数を持ってきて、その における比を調べてみればいいわけです。例えば、こんな二つ。 \begin{align}\lim_{x \to \infty} \frac{\log x}{x}\end{align} 一次関数と自然対数関数です…

-3個のりんごから7個選ぶのは何通り?

りんごが目の前に 個置いてありました。この中から 個選ぶことにしましょう。 \begin{align}\binom{-3}{7}\end{align} さて、いつもの通り計算すればいいので、 \begin{align}\binom{-3}{7} = \frac{(-3) \times (-4) \cdots (-8) \times (-9)}{7!}\end{alig…

二重階乗とネイピア数

今日はこれを計算したいと思います。 \begin{align}\sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{(2n)!!}\end{align} 分母のやつは二重階乗と呼ばれるやつです。階乗を二回繰り返したやつ とは違うので注意しましょう。 一応初めて見た方向けにざっくり説明すると、二重階…

負の数にも指数を乗っけてみようじゃないか

高校の数学Ⅱでは、指数関数と対数関数というものを習います。 \begin{align}y = a^x\end{align} こんな感じのやつですね。対数関数はこの関数の逆関数なのでした。 ただし条件があって、 は1ではない正の実数という仮定が必要です。もし が1だとしたら、そも…

メモ: Sternの2原子数列

先日の数学デーにて面白い話を聞けたので、忘れないうちにメモを残しておきます。 以下のように定義される数列 はSternの2原子数列(Diatomic Series)と呼ばれるものです。 \begin{align}s_0 &= 0 \\s_1 &= 1 \\s_{2n} &= s_n \\s_{2n+1} &= s_n + s_{n+1}\…

ボルテを初めてみた話

なんか最近数学のこと以外ばっかりな気がしますが、そもそもブログって雑多な寄せ集めでいいのでは?と思ったのでちょっと日常の雑記も書こうかなと思います。 私事ですが、最近SOUND VOLTEXに触ってみました。前々からKACで見たりして興味があったのですが…

Minecraft Forge 1.13.2 変更点などまとめ Part2

セットアップ段階での話は既に書いたので、主にアイテムとかブロックとかの登録方法の変更について書いておこうと思います。mikan-alpha.hatenablog.com Forge 1.13.2の現時点での仕様 FML(Pre、Post)InitializationEventの廃止 まずmdkをEclipseで開いて少…

ラマヌジャンの円周率公式を理解したい 第三回 - 公式の一般形

ラマヌジャンの円周率公式、第三回です。 mikan-alpha.hatenablog.com さて、前回は色々な道具を導入して限られた場合の円周率公式の生成法を紹介しましたが、今回はもう少し一般化した話をしていきたいと思います。 証明のようなものは、また別の機会に書け…

メモ: 1が並ぶ数の和とq-analog

先日、Twitterのタイムラインに面白いものが流れてきました。 とある無限和 以下のような1が並ぶ数を足していったら、というだけの話だったのですが、答えの方がなにやら面白いぞ、と。 \begin{align}1 + \frac{1}{11} + \frac{1}{111} + \frac{1}{1111} + \…

Minecraft Forge 1.13.2版のセットアップが変わった

このブログでは初めての数学以外の記事ですかね? なんだか久しぶりにForgeに触ってみたらセットアップから仕様が変わっててビビったのでメモしておきます。(日本語で解説してるサイトも無いようなので) 1.12.x以前から1.13.xへの変更点まとめ gradlew set…

フィボナッチ数の総和は -1 である

数列 を以下のような漸化式で定義します。 \begin{align}F_0 &= 0 \\F_1 &= 1 \\F_{n+2} &= F_{n+1} + F_n\end{align} このとき、数列 のことをフィボナッチ数列と呼ぶのでした*1。 今日は、このフィボナッチ数列について書きたいと思います。 数列の母関数…

ラマヌジャンの円周率公式を理解したい 第二回

この記事は、この記事の続きになります。 mikan-alpha.hatenablog.com 前回までと同じく、自由研究ライクな記事になります。厳密な証明などを与えるわけではないので、ご了承ください。 もうちょっと準備編 Dedekindのイータ関数 階乗冪・ガウスの超幾何関数…

ベクトルって便利だね、って話

高校二年生の数学Bなどで勉強するベクトルですが、意外とこいつを上手く使ってやることで証明がスマートになったり、あるいはほぼ自明レベルまで落とし込めたりします。 そんなわけでいくつかベクトルを使うと簡単に示せる定理などの紹介です。数が少ないの…

リーマン予想について少し考察してみたい(本編)

この記事の続き、というか本編になります。 mikan-alpha.hatenablog.com リーマン予想と同値な不等式として、こんなものが知られています。 ここで は約数関数、 はn番目の調和数です。 \begin{align}H_n = 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \cdots + \frac{…

ソシャゲのガチャと確率について考える

唐突なのですが、なんとなく昨日のリーマン予想とは別に書きたくなりました。 ということで、少しだけ書きます。 大抵のソシャゲにはガチャのシステムがあります。言わずもがな、ガチャというのは確率でレアアイテムやレアなキャラが手に入ったりするやつで…

リーマン予想について少し考察してみたい(予想解説編)

リーマン予想に関して少し話をしてみたくなったのですが、初めて取り扱うということでせっかくですし基本的なことからメモをしていきたいと思います。 そもそもリーマン予想って? リーマン予想 - Wikipedia リーマン予想という名前だけは聞いたことがある、…

ラマヌジャン型円周率公式

モジュラー形式をバックにする円周率の公式たち。私用メモです。n: 非負整数 \begin{align}h_1 (n) &= \frac{(6n)!}{(3n)! n!^3} \\h_2 (n) &= \frac{(4n)!}{n!^4} \\h_3 (n) &= \frac{(2n)! (3n)!}{n!^5} \\h_4 (n) &= \frac{(2n)! ^3}{n!^6} \\\end{align}…

座標平面上の三角形の面積公式

定理. 座標平面上の原点、2点とが一直線上にないとき、この3点を頂点とする三角形の面積は以下の式で表される。 \begin{align}S = \frac{1}{2} | x_1 y_2 - x_2 y_1 |\end{align} 証明 を 、 を 、 を と置く。 \begin{align}S &= \frac{1}{2} \| \vec{a} \|…

ラマヌジャンの円周率公式を理解したい 第一回 - 準備編

追記: ちゃんと証明するシリーズを書き始めました。もっと詳しく知りたい方はぜひどうぞ。 mikan-alpha.hatenablog.com mikan-alpha.hatenablog.com 円周率に関して、こんな公式があります。 \begin{align}\frac { 1 } { \pi } = \frac { 2 \sqrt { 2 } } {…

三角関数と無限遠点

次回はラマヌジャンとか言ってたんですが、急遽書きたいものができたので書いておきます。 \begin{align}\lim_{x \to \infty} \, x^2 (1 - \cos^3 \frac{1}{x}) \tag{1}\end{align} こんな極限を考えます。三角関数絡みなので、これが出てくるかなと頭の片隅…

0.7390...の謎が解決できた話(後編)

この記事は、以下の記事の続きになります。 mikan-alpha.hatenablog.com さて、前編ではThe Dottie Number(ドッティ数)という定数を紹介しました。(定義などは前回の記事を参照ください) 既に証明したとおり超越数であるこの数ですが、Wikipediaによれば…

0.7390...の謎が解決できた話(前編)

前回の記事を書いた後、どうにかして数学的な証明を与えられないものかと探っていたときのことです。 mikan-alpha.hatenablog.com とりあえず、WolframAlphaに頼ってみることにしてみました。 Wolfram|Alpha: Computational Intelligence 検索ボックスに「」…

cosを無限に繰り返したら

みなさん、突然ですがお手持ちの関数電卓を弧度法にしてを連打してみてください。 iPhoneの場合なら、左下の方にRadというボタンがあると思いますのでそこを押すと度数法から弧度法へと切り替わります。 ……どうでしたか? こんな風になったのではないかと思…

eのお気持ち

数学をやっていると、よくこいつに出会います。 \begin{align}\mathrm{e} = \lim_{x \to 0} \, ( 1 + x ) ^ {\frac{1}{x}}\end{align} はじめて出会うのは、おそらく数Ⅲとかでしょうか。自然対数などといったものと一緒に現れるわけです。したがって、このe…

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。 さて、元日なのでこんな感じの級数を考えてみたくなります。 \begin{align}1 + 1 + 1 + 1 + \cdots \tag{1}\end{align} やっぱり、まずはこの級数を計算するところからでしょうか。…

Ramanujan summationと-(1/12)

以下の等式は、数学をやっている人たちからしたらそこそこ有名な等式です。 \begin{align}1 + 2 + 3 + 4 + \cdots = -\frac{1}{12} \tag{1}\end{align} ただ、こう書いていいものかと悩みます。なぜかって、左辺の無限和は普通の意味では発散してしまいます…